テープ起こしや文字起こしをお仕事としてやっているライターの方を、一般的にリライターと呼びます。専属で業者のリライターをやっている方から、個人でテープ起こしの仕事を受けている方までその働き方もさまざまです。
では、テープリライターの仕事とはどんなものなのか、今回はそこについて話していきます。
リライターのお仕事
テープ起こし・文字起こしは、録音音声を聞いてそれを文字化していく仕事です。
クライアントから音声データを受け取り、それを各自で何度も再生してテキスト化していくというのが主な仕事の内容です。仕事の性質上表立ったことはあまりしませんが、雑誌などのインタビュー記事などに掲載されている文章は、リライターが文字を起こしたものを元にライターが記事を書くことで出来上がっています。ライターが記事を書くための下地を作っているような感覚を持っていただけるといいかもしれません。
インタビューなどに限らず、対談や座談会、講演会や会議、セミンサーやシンポジウムなどテープ起こしが活躍する場面は数多く存在しています。
またその中で話題となっている事柄やテーマの種類も色々なものがあります。リラリターはそのような音声を聞き、わからないことをインターネットなどで調べつつ仕事を進めていくのです。
リライターとして働いている方は、アルバイトやパートで家事や仕事の合間にされている方が多いです。場所と時間をあまり気にしなくてもいい仕事なので、主婦な方々がよくやっているという話も耳にします。
基本的には完全成果報酬型の仕事なので、一つの仕事にかける時間を短くすればするほど時給換算した時に高い給料をもらえる計算になります。
初心者のうちはスピードに慣れずに、なかなか作業を終えることができないこともありますが、経験を積んでいくうちにスピードも効率もどんどん上がっていきます。
しっかり努力すればきちんと結果がついてくるのがこの仕事の魅力とも言えるかもしれません。熟練者の中にはプロとしてテープ起こしだけで生活しているなんていう方もいらっしゃります。
文字起こしの仕事を始めるには
文字起こしの仕事をしたいけどどうすればいいのか?
資格や専門知識は必要なのか?
アルバイトでもできるのか?
こんな疑問を持っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
では、テープ起こしや文字起こしの仕事を実際にはじめてみるにはどうすればいいのでしょうか。
まず仕事を始めるのに必要なものですが、パソコンとインターネット環境、そして文字起こし用の音声再生ソフトとヘッドフォン、これらが揃っていれば仕事をすることができます。
テープ起こしの仕事は比較的始めやすい仕事です。テープ起こしの通信講座や文字起こしの検定といったものは存在していますが、資格や専門的な知識などはこれといって特に必要にはなりません。ですが、最低限のタイピングスキルがないとこの仕事をやるのは難しいかと思われます。テープ起こし自体、かなりの集中力と入力スピードが必要とされるためブラインドタッチは習得しておきたいところです。
これらの条件が揃っていればすぐにでも仕事を始めることはできます。
資格や特別な知識は必要ないと記述しましたが、テープ起こしの案件の中には学術的なものや法律関係のものなど、専門的な知識を必要とする案件も多く存在します。このような案件は、単価も高めに設定されていることが多く、専門分野を持っているリライターの方はとても重宝されます。これらの専門知識を有している方でしたら仕事の幅も大きく広がることでしょう。
テープ起こしの仕事を探す
テープ起こしの仕事を始めるにあたって、働き方を考えなければなりません。サイトなどを探してアルバイトから始めるのがメジャーですが、ライター経験やある程度のスキルがある方は独立してフリーで仕事を始めるのもありかもしれません。
基本的に経験値が大切になってくる職業なので、まずはアルバイトからコツコツと経験を積み重ねていくことをお勧めします。ある程度仕事のやり方や効率的な方法がわかってくると、仕事にかかる時間も短くなり、相対的に時給換算した時の給料も上がっていきます。
ただし、業界的にかなりニッチな分野の仕事をしているので、そこを狙ってやってくる詐欺まがいの悪質な業者にはくれぐれも気をつけてください。
ネットを通じて応募してきた応募者に保証金を要求し、トライアルで落第させ、保証金を返さないといった手口で詐欺が行われていることもあります。仕事として音声を渡され、ちゃんと書き起こしたのにあれこれと難癖をつけられお金を払うことはできないと言われてしまうケースもあるようです。
働く際は、きちんと所在地が明記されていて希望面接などにもしっかり対応しているところを選ぶようにしましょう。
リライターの給料
さて、気になるリライターの給料のお話です。
独立してフリーで仕事をやっているプロの方は1本1時間のテープを1〜2万ほどでやっています。
一方アルバイトとしてリライターをやったり、サイトを経由して仕事を行なったりした際、給料の相場はテープ1分あたり70〜80円とされています。1時間のテープを文字に起こしたとなると4200〜4800円という計算になります。
リライターの仕事は、前述したように完全出来高制です。通常、慣れている方が再生時間1時間の音声を文字起こしをするとだいたい3〜4時間ほどかかるとされています。先ほどのアルバイトの給料相場で時給換算すると約1200円ほどといったところでしょうか。これを初心者の状態で行って、丸一日かかってしまったり数日かかってしまったりするとどんどん時給としての給料が薄まっていってしまいます。しっかりと稼いでいくにはスキルと経験を積んでどんどん効率的に仕事をこなしていく必要があるのです。
そういった面ではかなりシビアな仕事と言えるでしょう。
しかし逆を言えば、一度スキルさえ身に付けることができれば独立してフリーで活躍していくこともでき、確実にお金を稼ぐことも可能になるので、職人気質で黙々と作業ができる方にはかなりおすすめできる仕事であると言えるでしょう。
リライターをやるメリットとデメリット
では、テープ起こしの仕事のメリットとデメリットをあげていきましょう。
■メリット
・特殊なスキルや資格を持っていなくても仕事ができる。
・自宅や自分の好きな静かな場所で仕事ができる
・自分の都合のいい時間で仕事ができる
・色々な内容の案件に巡り会える
■デメリット
・初心者のうちはなかなか稼げない
・精神的肉体的疲労が大きい
・案件によって音声の質にばらつきがある
それぞれこのようなものがあげられます。
テープ起こしを仕事としてやるメリットとして第一にあげられるのが仕事を始めるハードルの低さです。採用の間口がそれなりにあり、制限も少ないのでやりたいと思った時にいつでも始めることができます。
テープ起こしには時間と場所の制限もあまりありません。自宅や静かなカフェなどで仕事をすることも可能です。よほど急いでいて短い納期の案件などでない限り空き時間を利用して作業を進めることができます。
ただし、機密性の高い案件などを取り扱う場合には仕事をする場所にはきちんと配慮するように心がけましょう。
また、さまざまな内容の話を聞くことができるといったことも仕事の魅力の一つと言えるでしょう。
最新の科学情報を知ることができたり、有名なアーティストのインタビューを聞くことができたり、ここでしか見ることのできない世界を覗くことも可能なのです。
デメリットとしては、やはり最初はスピードと効率がなければなかなか稼ぐことができないといったことでしょうか。慣れてしまえばどうということはないのですが、慣れるまでの期間がかなり大変かとも思われます。
そして目や耳を酷使するために肉体的疲労が結構あったりします。
基本的にパソコンに向き合って作業するので、首肩や腰などのケアにも気を配らなければなりません。さらに集中して聴きながら書き起こしていかなければならないため、精神的な消耗も激しいとされています。
最後に、録音音声の質の問題です。
テープ起こしにとって音声情報とはまさしく命そのものです。その音声が不明瞭だったり、話者の声が聞き取りづらかったりする場合がたまにあります。事前に案件の内容を確認したり、クライアントと話したり資料をもらったりすることによって、少しでも作業が効率的にできるようにしていきましょう。
書き起こしの効率を上げるには
テープ起こしを仕事としてやって、しっかりとお金を稼ぐことを目的としていくことは実際結構大変なことかと思います。
経験値やスキルも大きく関係してきますが、周りの環境ややり方を少し変えるだけでも作業効率は大幅にアップします。
■フットスイッチを使用する
効率を上げるために、タイピングする両手の自由を確保しておく必要があります。
音声を再生しながら書き起こしを行うと、どうしても聴き取れない箇所や曖昧な箇所は出てきてしまいます。その時に一回一回タイピングの手を止めて巻き戻し再生をやっていくのは時間がかかる上、巻き戻しの回数が増えるごとにタイムロスにもつながっていきます。
そんな問題を解決してくれるのがフットスイッチです。フットペダル・フットコントローラーとも呼ばれます。足で音声を再生したり巻き戻したりすることができる優れものです。これを足で操作しながらテープ起こしをすることで、ハンドフリーで音声を再生しながらタイピングをすることができるのです。
■音声認識ソフトを使用する
近年技術進歩が進み、人工知能にもある程度の言語認識が可能になりました。Siriなどがその代表ですね。これらの音声認識ソフトを活用して文字起こしを行うこともかなり有効です。
しかし音声認識ソフトは認識力に限界があり、同音異義語や接続詞の間違いなどをよく引き起こしたり、認識できない部分は何も手をつけてなかったりするので最終的には人間が手を加えてやる必要があります。将来的にはもっと精度が上がって便利なものになるかとは思いますが、現段階での過信はくれぐれも禁物です。
■打ちやすいキーボードに変える
タイピングの速度も一朝一夕ではなかなか上がってくれません。そこで、打ちやすいキーボードを導入してみるのもいいかもしれません。
キーボードにはさまざまな種類のものがありますが、文字起こしに特に最適なのがパンダグラフ型と呼ばれるキーボードです。このキーボードはキーの高さが低く、ノートパソコンなどによく使用されている型です。キータッチが軽いのが特徴で、長時間入力していても疲れにくいというのが利点です。
テープ起こしだけではなく、書面作成などのタイピングに特化した型なので、タイピングをする機会が多い方には最適です。
■音声の再生速度を下げる
音声の再生速度を下げると逆に1回の再生時間が長くなってしまうじゃないか。と考えている人もいるでしょう。しかし、再生時間を遅くすることによって、音声の聞き逃しを減らし、結果的に何度も再生する手間を省くことができるのです。
ミスも減りますし、タイピングも楽になるので、再生ソフトの機能を使って速度を下げて書き起こしをやってみましょう
■リラックスできる環境を作る
精神面でのケアに近い話ですが、リラックスして仕事ができる環境を作ることも大切です。集中力を必要とする作業なので、自分が一人で集中できる空間を考えて実際にその空間を作ってみましょう。
コーヒー一杯、座り心地の良い椅子、観葉植物、アロマを焚いてみるのもいいでしょう。自分がリラックスして仕事ができる環境を整えるのも効率的な作業進行への近道ですよ。
まとめ
テープ起こしの仕事がどんなものかわかっていただけたでしょうか。
紙と筆、そして言葉によるコミュニケーションが始まった時から文字起こしというものは始まっています。人々の生活の中に息づく言葉たちを拾い集め形にしていくのがこの仕事です。
少しでも興味のある方はぜひ挑戦してみてください。何か新しい発見があるかもしれませんよ。